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エピソード3:お風呂に入ろう

お風呂に入ろう

特養 夢の箱

 

特養夢の箱にご入居頂く前は、長く入院生活を送っておられたため寝たきりの状態の男性でした。

  

右半身は麻痺で固まり、自分で動かす事が出来ず、リクライニングが出来る車椅子を使ってベッドから起きて頂くのがやっとでした。
食事も一人で食べるのは難しく、お手伝いが必要でした。

 

せっかく夢の箱に来て頂いたのだから、絶対元気になってほしい。
介護職員や、機能訓練士、看護師など、みんなの想いが一致団結しました。
介護職員は、ちょっとずつベッドで横になる時間を減らして、リビングで過ごして頂く時間を増やしていきました。

 

機能訓練士や看護師が、座る姿勢を取る事が出来るよう、身体をマッサージして固まった体をゆっくりほぐしていきました。
管理栄養士は、自分の力で一口でも食べられるよう、特別な食器を用意し、食事も飲み込みがしやすい形に調理方法を工夫しました。
そして食事は「食べさせる」のではなく、本人様にスプーンを握って頂いて、私達が本人様の代わりに腕を動かして、口まで運ぶ動作を作りました。

  

 

数日では変化は見られません。
でも、根気強く続けていきました。

 

数か月後、リクライニング車椅子は必要なくなり、普通の車椅子で座る事が出来るようになり、調子が良い時は、椅子に移って頂いて座る事が出来る時も増えて来ました。

 

腕の力がついてきたので、スプーンを握った左手を一生懸命動かし、半分くらい自分で食事を食べる事が出来るまでになりました。

 

しっかり座れると、食事が食べられる。
食事が美味しく食べられると、体が元気になる。
元気になると、今まで出来なかった事が出来るようになる。
良い循環が生まれていました。

 

 

元気になったその方の一番の楽しみは、お風呂でした。

 

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夢の箱には機械浴槽はありません。
最初は職員が2人でお手伝いしてようやく入って頂く事が出来たお風呂ですが、
元気になった本人様は、いつしか職員1人のお手伝いでもご入浴ができるようになっていました。

いつも気持ちよさそうに、ゆっくり湯船に浸かっておられました。

 


しかし年月が経ち、また体調が少しずつ悪くなっていき、
食事ものどを通らなくなり、ついに、点滴が必要な生活になってしまいました

 

点滴がついているとどうしてもお風呂に入る事を慎重になってしまいます。
温かいタオルで身体を拭いていました。

 

でも、職員は思います。

 

お風呂が好きだった○○さん、お風呂に入れてあげたい
本人がお風呂に入りたい希望があるなら、叶えてあげたい

 

そこでデイサービス夢の箱から、大きなリクライニング式のお風呂用車椅子を運んできて、
特養夢の箱の1階にある、1番大きな大浴場の浴槽を使って
介護職員、看護師、総勢5人でお手伝いして、お風呂に入って頂きました。
およそ1か月ぶりの大好きなお風呂。

 

久々に、その方の満面の笑顔を見せて頂くことが出来ました。

 

その日から、お風呂の再開が決定。
最期の日を迎える前日まで、お風呂に入る事ができました。

 

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