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エピソード1:おうどん大好き

おうどん大好き

エピソード 1(夢の箱ショートステイ、特養夢の箱)


初めて私達がその方とお会いした時の印象は、小柄なおばあちゃんで愛想が良く、
笑顔のとてもチャーミングな方でした。
その方を知っていくにつれて、ご自身の意志をはっきりと表明され譲らない、
とても芯の強い方だということがわかっていきました。

 

夢の箱でショートステイをご利用頂くようになり、
「夢の箱が楽しい、ここに来るのが大好き。」
本人様のその言葉で、夢の箱への入所が決まりました。

 

しばらくはお元気でご利用頂き、過ごされていたのですが、
ある頃から発熱をくりかえすようになり、少しずつ食欲が落ちてこられました。
どんなに職員が勧めても、どんなに娘様が声をかけても
なかなかご飯を食べて頂けない日が続きました。
この方は芯の強い女性なのです。
食べたくないと言えば、食べたくは無いのです。


「お母さんはうどんや梅干しが好きだったから、それなら食べてくれるかも」
と、娘様が好きなメニューを教えてくれました。

 

 

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夢の箱のユニットにはキッチンがあります。
スタッフは食事がすすまない本人様のために、
娘さんに準備してもらったうどんを湯がき、お出汁を作り、卵を落とし…
美味しそうな月見うどんを作りました。
これまで食べられなかったのがウソのように、
あっという間に全部ペロッと食べて下さいました。
そして、その素敵な笑顔で
「おうどん大好き」と笑ってくれました。
それからは、食事がすすまない時には、スタッフがうどんを作るようになりました。
時にはおかわりを要求して下さいました。
嫌いなお粥も梅粥にしてみると、よく召し上がって下さいました。


体調の浮き沈みはその後も何度も見られ、
医師からは「あと1ヵ月程でしょう」と余命宣告がありましたが
食べられる日は本人様の好きなうどんや梅粥をつくり
食べられない日は無理をせず
穏やかに日々を過ごして頂くようにしました。


余命宣告から3年の月日が流れ、
100歳のお誕生日を迎えられました。
私達職員も家族様もそのお誕生日をとても喜び、一緒にお祝いをさせて頂きました。


そして、それからほどなく、100歳という生涯を全うされました。
医師も驚かれるほどの驚異的な生命力で、
好きな食事を召し上がられ、皆と笑い過ごされ、
亡くなられる直前まで職員や娘様へ自身の意志をはっきりと表明されていました。


夢の箱を出発する最期のご挨拶は、休みだったスタッフも駆けつけ、
皆でお見送りをさせて頂きました。


娘様は「おかあさんの為にしてあげられる事が、全部できた。心残りが何もない」
と、お母さんと同じ笑顔を、私達に向けて下さいました。

 

 

“エピソード1:おうどん大好き” への2件のフィードバック

  1. kikoukai より:

    素晴らしいストーリーですね。

  2. マーシー より:

    おうどんを私の母も大好きだったので、、。

    同じ感動をありがとうございます!

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