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エピソード2:畳の上で

畳の上で

エピソード 2(ケアプランセンター夢の箱、特養夢の箱)

身よりのない、一人暮らしの女性でした。

 

 
地域の方からの相談でケアマネジャーが自宅に伺うと、
足腰が悪くなり、右足の膝がすっかり固まって動かなくなってしまい
畳の上で生活されている、その女性と出会いました。

 
ちょっと物忘れも進んできたようです。

 
また、他人を信じられない性格だったので、なかなか介護サービスを受け入れられず、
心配したケアマネジャーは何度も何度もご自宅に足を運び、
困ったことはないですか、と声をかけ続けました。

 

お部屋の中は片付けもままならず、もうずっとお風呂も入れていない様子です。

  

 

度重なるケアマネジャーの親身な訪問で、少し心を開いて頂けたのでしょうか。
デイサービスの体験利用と称して何とかデイサービス夢の箱に来て頂く事が出来、
本当に久しぶりのお風呂に入って頂きました。

 

本人様が気兼ねなくご入浴できるよう、大きな大浴場を独り占めしてもらいました。

 

見違えるように綺麗になった本人様が、
やっと介護サービスをご利用いただく事にご理解を示して下さいました。

 

 

それから、長年ケアマネジャーやヘルパー、デイサービス職員、地域の方の支えのもと、慣れ親しんだ畳の上で頑張って生活されていましたが、いよいよ自宅で過ごす事が難しくなり、特別養護老人ホーム夢の箱に入所されました。

 

夢の箱のお部屋の基本のしつらえは、ベッドの環境です。
慣れ親しんだ畳のお部屋とはまるで雰囲気が違います。
本人様が不安にならないように、本人様の為の部屋を作ることにしました。

 

介護ベッドは置かず、畳をしいてこたつを置いて、寝るときはお布団を敷きました。
あえて、畳の上の生活を夢の箱で再現したのです。

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そんな家庭的な雰囲気のお部屋ですから
すぐに施設での生活にも安心されたようでした。
特養夢の箱の職員も、よく一緒にこたつに入らせて頂いておしゃべりに花を咲かせたり
特養の職員にとっても、畳のお部屋は特別な空間でした。

 

特養夢の箱に住まいが移ってからも、
在宅介護で関わっていたケアマネジャーやヘルパー、デイサービス職員、地域の方が本人様のもとにたびたび会いに来てくれました。
それは、家族のきずなを越えた、信頼関係でした。

 

馴染みの関わりを、その人らしい過ごし方を、最期まで。
畳のお部屋を見ると、その方を想います。

 

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